現代生薬漢方U

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漢方とは、漢方薬のことだけではなく、漢方医学のことであり、数千年前、中国に発祥した古代の医療体系です。
以上のことを念頭に置いて、日本の漢方の現状について説明します。



漢方の現状

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 漢方は、日本には遣隋使や遣唐使などによって、中国から伝えられたとされています。その後、田代三喜や曲直瀬道三などが表れて、国内に広めました。特に江戸時代を中心に、実証を重んずる風潮が主流となり、日本としての独自の進歩を遂げてきたという経緯があります。(ウェブサイト:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』−「漢方医学」を参照)

 現代科学の観点からより深く解明されることが、将来の大きな鍵となりますが、現代において日本の漢方の現状は、
 
(A)…日本の伝統的な経緯を踏まえていく立場
 (B)…本来の古代医学としての側面を取り入れていこうとする立場

 この二つに大別できます。

 (A)については、「証」に基づいて、数ある漢方薬の中から、症状や病状に合わせて、どの漢方薬が相応しいかを決定する方法です。
 「証」とは、それぞれの漢方薬毎に決められた診断基準です。同時に、治療方法に直結します。
 江戸時代にはこのような医療体系が主流であり、古方派(こほうは)と呼ばれました。
 “どの病状に対して、どの漢方薬が効くか(当時は、どのような生薬の組み合わせ方が、最も効果的か)?”という、実証的かつ明瞭な医療体系です。
 既に古典などによって、古くから使い方が明らかになっている漢方薬を、目の前の病者に対して、十二分に活用していくという考え方です。
 現在の日本でもこちらが主流です。現代医学的に検証できる部分もあり、近年になって、現代医学的な適用が加えられました。

 また(B)については、「証」の背後に存在している、陰陽五行や気血水などの基本となる考え方を、より積極的に有効利用していこうとする考え方です。
 江戸時代には後世派(ごせいは)と呼ばれました。
 陰陽五行、気血水などがその理論となっており、よく言えば哲学的です。
 しかし人体における陰陽五行や気血水とは、現代医学で言えば基礎医学に該当する領域です。その点、現代医学から見た場合、医学理論としては人体の実態からかけ離れ過ぎており、理解することが殆ど困難です。
 少なくとも日本では、江戸時代にはすでに空論化してしまい、実質が失われて混乱していたことが窺えます。

 陰陽五行、気血水という理論は、人体の基本となる仕組みを表しています。この仕組みが現代科学によって立証されたわけでは、もちろんありません。しかしながら、漢方を医学として把握した場合、古代の人々が人体をどのように理解していたかという、医学の大前提となる基本的な概念を抜きにして語ることはできません。

 この基本的な概念とは、現代医学でいえば解剖学、生理学、病理学、薬理学などの基礎医学に該当し、臨床医学の大前提を構築します。基礎医学が存在して初めて、病者の治療という目的のための臨床医学が成立します。そして基礎医学はすべて、正常な人体像をどのように把握するかという人体観から導かれてきます。
 つまり、人体観が前提にあって初めて、基礎医学が成立し、さらに臨床医学へと発展しています。
 このように正常かつ健全な人体像(人体観)が明確にされて初めて、異常や疾病が明らかとなり、次に、治療方法が産み出されるのです。

 古来数千年を経て、伝承され続けて来た漢方薬が、現代においてもなお有用であり活用されているという事実があります。その意味で漢方を論ずるならば、同じ人体を対象とする医療体系ではあっても、漢方医学が現代医学とは異なる人体観の元に創出された医学であることを無視することはできません。
(漢方コラム「陰陽五行と気血水」を参照)
 したがって、当院の現代生薬漢方は、(A)を踏まえながらも、(B)の考え方も大切であると考えています

 当院では、陰陽五行、気血水などの理論のうち、現代医学に何とか近いと思われる部分に限定して、つまり人体に密着した部分について探究しました。そして、現代的にどのように解釈をすれば理解しやすいかを追及して、実際の診療に生かしていくように努めています。
 そうすることにより、前者の証という考え方(A)に沿いながらも、古代の人々の人体観である、体の自然な仕組み(B)を生かしていくことが可能となります。
 それと同時に、漢方薬のみならず、漢方という医療体系をより深く把握することができます。また、気血水システムの異常という点から、生薬レベルで処方することにより、理解が深まるだけでなく、生薬の組み合わせ方や量的な加減を工夫することができるため、当院では生薬レベルでの診療を大切に考えています。

 現代生薬漢方では、個々の症状をばらばらに捉えることをせず、それらの多くの症状は相互に関連があり、それらの症状の原因となっている漢方医学的な病態があると捉えます。
 症状そのものに対する直接的な効能や効果を目標におくことも、もちろん必要ですが、これに加えて、今述べた漢方的な病態により深く着目し、いろいろな生薬の特徴を生かしながら、漢方診療を行います。

 また、このホームページ上で行っている、漢方薬の説明や病状などの解説は、その多くが、当院の現代生薬漢方の角度から考察した内容となっています。
 なお、伝統的な漢方用語である気血水を、現代生薬漢方では、気血水システム、気システム、血システム、水システム、あるいは気エネルギーなどの用語によって現してあります。

より詳しい考え方については、漢方コラムをご参照ください。



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